留学生活の質を左右する「食」のリアル
「来週、アーモンドアレルギーの生徒が来るため、学校・寮の敷地内へのアーモンド持ち込みを禁止します。」
後期授業が始まったある日、校内SNSに流れた一斉通達に私は驚きを隠せませんでした。FHSでは、こうした「個人への配慮」が当たり前に行われています。
本記事では、留学を検討する方に向けてフォルクフーグスコーラ(FHS)で提供される食事の基本情報をはじめ、実体験エピソードが盛りだくさんのリアルな実態をご紹介します。
この記事で分かること
✓ FHSの食事サービスの費用・提供時間
✓ 実際のメニュー公開(朝・昼・夕の1週間分)
✓ アーモンド持込み禁止?驚きのアレルギー対応
✓ 「夕飯が軽食」スウェーデンの食事文化Kvällsmat
(所要時間: 約10分)
FHS留学の食事提供サービス
一般的なサービス内容
多くのFHSでは、有料の食事サービスが提供されています。寮費に含まれる学校もあれば、オプションで別途支払うケースもあります。
一般的な提供内容
– 朝食/フィーカ: コーヒー・紅茶・サンドイッチ等。サービス料に含まれることが多い
– ランチ: 有料(65-145 SEK / 1,200-2,500円 程度)。寮費に含まれることが多い
– ディナー: 寮生のみ。寮費込みまたはオプション
*提供日や時間は学校ごとに異なります。「月~木の夕方まで」「月~金の昼まで」など様々なので、必ず各学校の公式サイトで確認してください。
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(!) 食事サービスや寮が利用できないコース・学校もある
短期コースや一部の学校では、寮や食事サービスを利用できない場合があります。行きたい学校を見つけたら、必ず確認しておきましょう。
実際の食事メニュー公開
筆者の通った学校の食事サービス例
- 平日:月~金 *金曜は昼までの提供
- サービス内容:朝(軽食、フィーカ)、昼、夕方(軽食)
- 料理の傾向:伝統的な家庭料理、多国籍料理などバリエーション豊富
とある週の日替わりメニュー
- 朝:パン・ハム各種、生野菜
- 昼:
月:魚のスープ/ベジタリアンスープ、パン、クラッドカーカ(デザート)
火:タコス
水:ミートシチュー/ベジタリアンパスタ
木:魚のグラタン、ジャガイモ/ベジタリアングラタン
金:ギリシャ風チキングラタン/大豆ミートのグラタン、ジャガイモ、ライス - 夕方:
月:サンドイッチ
火:ピッティパンナ(スウェーデンの家庭料理)、赤ビーツの酢漬け
水:ソーセージ、3種類のパン
木:カレー風野菜グラタン、ライス
*食事やフィーカと併せてコーヒー、紅茶、ジュース、水が提供される
*ランチのサラダバーはオプション(有料)、寮生はランチに付属する
*ランチ・夕食は日替わり、週2~3回フルーツまたはデザートの提供あり
*常時、肉/魚またはベジタリアンメニューを選べる
「体質」や「思想」への当たり前すぎる配慮
アレルギー・食事制限の個別対応
多くの学食では、アレルギーや体質(乳糖/グルテン不耐性など)、ベジタリアンの食事制限を配慮してもらえます。
スウェーデンは環境配慮への意識が高い国で、ビーガンやベジタリアンを選ぶ人々が多いです。
「体質」や「個人の選択」を受け入れる体制が整っているのは、こうした背景や文化・宗教・思想に多様性のある社会形成が影響しているからかもしれません。
FHSあるある?な実体験エピソード
筆者の通った学校では、体質や思想に留まらない柔軟な対応も印象的でした。参考に、実際のエピソードをいくつかご紹介します。
アレルギー対応への意識の高さ
学校で「どのくらいアレルギーや食事制限への配慮がなされていたか」がよく分かるエピソードが2つあります。
1つは、日々のランチ対応です。
食堂に入ると、サービングカウンターの左にベジメニュー、右は肉メニューと区画分けされ、奥に名前付きの鍋やバットがありました。鍋やバットには、アレルゲンなどを使わない料理が入っていて、該当生徒は自分用の食事を取り分ける、というのが当たり前の光景でした。
もう1つのエピソードは、短期コース生徒が来る直前のこと。
校内SNSの一斉通達にはこう書かれていました:
『来週の受講生の中にアーモンドアレルギーを持つ方がいます。この期間は 学校や寮の敷地内へのアーモンドやそれ由来の製品の持ち込みを禁止します。』
校長は週に数回、各コースの教室を回って生徒や教師とコミュニケーションを頻繁に取るのですが、その際にも同様の注意喚起や情報共有を口頭で伝えてくれました。日本では考えられない対応に驚きを隠せませんでした。
「好き嫌い」にも対応してもらえる
食堂のドリンクサーバーには「コーヒー・紅茶・フルーツジュース(2種)・水」がありました。ランチになると、ある生徒はいつも厨房へグラスを持って行き、大好きな牛乳をもらっていました。また、他の生徒は冷製ソースに使われる”ディル”が苦手なことを事前に厨房に伝えていて、冷製ソースが提供される日は”イタリアンパセリ”に替えて特別に作ってもらっていました。
アレルギーでもベジタリアンでもなく、「好き嫌い」を厨房へ相談し、対応可能なら受け入れられる――日本にはないコミュニケーションと空気感、柔軟性は、私にはとても新鮮に映る出来事でした。
【学校運営】スウェーデンらしい透明性
校長は、全校集会や教室に巡回に来る際、『学校運営』の話をよくしてくれました。学校は税金によって運営されているので、生徒も納税したお金がどう使われるか関心を持っていました。(余談ですが、スウェーデンの投票率は80%と非常に高く、国民が政治に関心が強いことで知られています)
前期が終わる間近、教師や校長から「予算を前期で使い過ぎたので、後期で調整します」という説明がありました。想定以上に出費が嵩み、前期同様にお金をかけられない旨の通達があり、食事サービスにも影響が出るかもしれないとのことでした。
学校側の正直な宣言に、日本では感じ得ない「透明性の高さ」を垣間見たのは興味深い経験でした。翻訳アプリを駆使しながら理解した内容なので語弊はあるかもしれませんが、スウェーデンらしさを感じました。
寂しいサラダバーの救世主は『学校の畑から届くグリル野菜』
宣言通りか冬のせいか、後期に入ってランチのサラダバーはやや寂しくなりました。そんな中、春目前に増え始めた学校の畑から届く野菜はランチの救世主でした。
アクの少ないほうれん草、ケール、ニンジン。蜂蜜やタイムをたっぷり使ってグリルされた野菜の美味しさは、今でも忘れられません。特にPalsternacka(パルステルナッカ/パースニップ)というセリ科の野菜が気に入り、工夫された節約運営のランチに不満を抱くことはありませんでした。
Palsternackaのグリル(皿上部の黄色い野菜)。蜂蜜とタイムでグリルされた甘みが絶品。
– 日々の記録用に撮影したもの。 –
【カルチャーショック】スウェーデンの食事文化
「Kvällsmat」と「Middag」
FHSでの食事文化で驚いたのが”夕飯が軽食”という文化です。
スウェーデンの夕食には「Kvällsmat(クヴェルスマート)」と「Middag(ミッダ)」という2つの考え方があります。かつての農耕社会で正午(mid-day)にメインの食事をとっていた名残で、現代でも「昼にしっかり、夜は軽く」という習慣が残っています。
– Kvällsmat:軽食・補食。直訳は「夜の食べ物」。昼にしっかり食べた後の簡素な夕食。
– Middag:1日のメインの食事(ディナー)。温かい肉や魚を使ったボリュームのある料理。
学校では、夕食は17時から「Kvällsmat」が提供されました。
筆者はなぜKvällsmatを「キャンセル」したか
実は私は、学校の「Kvällsmat」を留学早々にキャンセルしました。理由は2つあります。
① お腹が空かなかった
夕飯は17時から提供されましたが、12~13時にボリュームあるランチの後、放課後はおやつのフルーツも食べていたので、17時の夕飯は私には早すぎました。
また、胃腸が強くないのでランチの油分や乳成分で胃もたれすることが多く、夕飯を食べるとお腹を壊しやすい為スキップすることが多かったのです。
② Kvällsmatに慣れなかった
Kvällsmatでは、ピッティパンナ(芋・ベーコンの炒め物に目玉焼きを乗せた料理)やパンカーカ(薄いパンケーキ)とジャム、ハンバーガーなどの軽食が振舞われました。
夕飯に温かい食事を摂りたかった私にとって、軽食よりも胃腸に負担のない味付けのパスタや温かいスープを自炊する選択はごく自然な流れでした。
こうした理由で、学校生活が始まった翌週には夕飯の提供を断る旨を校長へ伝えました。(もちろん寮費は変わりませんでした)
その後、多くの寮生が無断で夕飯をスキップしてフードロスの問題が発生した為、夕飯不要の生徒は厨房へ事前報告するルールが設けられることになりました。
学食サービスのまとめ
FHSでの食事提供は、栄養バランスに優れ、体質などにも合わせてくれる素晴らしいサービスです。
寮には共用キッチンもあるので、学食と自炊をうまく組み合わせれば、健康的で快適な留学生活を送ることができるでしょう。
- 食事サービスは有料で利用できる
[内容] フィーカ、朝食・昼食・夕食の提供。平日のみ。
[価格] 学校により寮費込みやオプションなど様々。ランチ単品で65~145SEK(1,200~2,500円etc)。
※各学校HPの確認を推奨 - アレルギーやベジタリアン、食事制限に対応してもらえる
事前に個別相談すれば、体質や思想に沿った食事を選択できる - 夕食は「軽食」が多い
「昼にしっかり食べて、夜は軽め」の文化
学食サービスに関するQ&A
Q: 学食は、外食よりどれくらい経済的ですか?
A: 学食ランチは外食より3~4割安いです。(但し、学校による)
筆者の学校は、フィーカ/朝食はサービス料に含まれていて、ランチは別途70SEK(1,300円)、サラダバーは13SEK(230円)でした。寮生は寮費にランチ・夕食代が含まれていたので正確な費用は出せませんが、ランチだけで外食より3~4割安いです。
ちなみにイェーテボリやその周辺の外食は、ランチセットやダイナーの単品が120~130SEK(2,000~2,200円)。チップ制レストランのディナー単品が230SEK(4,300円)~。飲み物を頼んで最低5~6千円です。
*2026/2時点のレート換算です
Q: 座る場所は決まっていますか?食事中の「会話」は必須ですか?
A: (筆者の経験では)ざっくりコースごとに決まっていました。
人数の多いコースは、事前に場所が決められていて、それ以外の席は自由に選択できました。
皆クラスメイトと声をかけ合って食堂へ行き、コースごとに座る人ばかりでしたが、「会話が必須」のルールはありません。私は翻訳しながら食べると時間がかかるので、相槌を打つか食事に集中することが多かったです。
一人で離れて食べている生徒もいれば、同じグループ内に座ってもヘッドホンで耳をふさいで終始無言の生徒もいて、それを誰も気に留めておらず、忖度や過度な気の遣いあいのない、自由な雰囲気がありました。
Q: 食事の時間は厳守ですか?遅れた場合の対応は?
A: はい。食堂の開放時間は基本的に決められています。
筆者の学校は、フィーカ(朝食)は8:30~9:00、ランチは12:00~13:00、夕食は17:00~18:00(但し17:30までに行く)でした。時間外は片付けや調理、会議に使用されるので、時間外に遅れた場合は、基本的に食べることができません。
時間内であっても、大幅に遅れると料理が残っていなかったり、片付けられる場合があるので注意しましょう。
Q: 「Fika(フィーカ)」の時間は、強制参加ですか?
A: いいえ、強制ではありません。
筆者の場合、フィーカは朝に一度、コース内でランチ前に一度ありました。
参加は強制ではありませんが、交流を深めたり言語や文化、互いの理解を進めるためにも参加をおすすめします。堅苦しくなく、その場にいるだけでいいので、人見知りの方や作業を進めたい方も気兼ねなく過ごせます。
Q: 学食への「アルコール持ち込み」はできですか?
A: 多くの学校では「アルコールの持ち込み」は禁止されています。
筆者の学校では、敷地内へのアルコールの持ち込みが禁止されていました。また、喫煙は外なら許可されていましたが、健康被害の懸念から禁煙を推奨する通達が定期的にありました。
スウェーデンでは酒類の扱いが厳しい社会背景があり、成人教育の場であれど、”共同生活の場”として対応が求められているように感じました。
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