海外渡航のキホンをおさえよう
フォルクフーグスコーラへの入学が無事に決まったら、さっそく渡航準備のスタートです。
本記事では”海外渡航”に必要な3項目、パスポート、航空券、海外旅行保険について、初心者の方にも分かりやすいように基本情報から注意点までを詳しく解説していきます。
筆者の実体験ベースで失敗しないポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事で分かること
✓ パスポート申請の概要
✓ 渡航日・帰国日の決め方
✓ 航空券手配のポイント
✓ 海外旅行保険を選ぶポイント
(所要時間: 約15分)
パスポートの基本情報と申請
海外渡航で絶対に必要な書類はパスポートとビザです。(ビザは滞在期間や渡航先により不要となる場合があります)
パスポートは国内外問わず強力な身分証(ID)の一つなので、持っておくと日本での公的手続きの身分証確認にも使うことができます。
まずはパスポートを発行したことがない方向けに、パスポートの基本情報について解説します。
”パスポート(旅券)は、世界で通用する身分証明書です。
世界のほとんどの国が、外国人の入国・滞在を許可する条件の一つとして、パスポートの携帯及び呈示を求めています。また、普通は、自国民の出国・帰国の際にもパスポートの携帯及び呈示を義務付けています。~中略~
言葉の異なる海外にあって、自分が何者であるか(国籍、氏名、年齢など)を具体的に証明できるほぼ唯一の手段と言うことができます。”
(外務省 “旅券の基本情報” より引用/2025年9月閲覧)
パスポートの基本情報
パスポート(旅券)には5年用、10年用の2種類の有効期限があります。
発行手数料はそれぞれで異なり、申請には”戸籍謄本、パスポート用の証明写真、本人確認書類、申請書”の4点が必要となります。
パスポート新規申請に必要なもの
- 一般旅券発給申請書 1通
- 戸籍謄本(全部事項証明書)原本 1通
- 写真(縦45mm×横25mm) 1枚
- 本人確認書類*
*顔写真付きの公的なものは1点、それ以外は2点必要となります
※住民登録としていない方や住基台帳ネットワークの利用を希望されない方は、住民票の写し(1通)が別途必要です。
※有効期限切れのパスポートを持っている方は返納し失効手続きが必要です。
パスポート新規申請の発行手数料(2025年9月時点)
・5年用 10,900円(オンライン)、11,300円(窓口)
・10年用 15,900円(オンライン)、16,300円(窓口)
オンライン申請
令和7年3月から、すべての都道府県と在外公館にてオンライン申請ができるようになりました。(国内からはマイナポータルより受付できます)
オンライン申請の場合は、手数料が窓口申請より400円お得になっているようです。
窓口申請を希望する方は、お住いの都道府県のパスポート申請窓口から詳細を確認しましょう。
受け取り(交付)まで約2週間
申請から受取り(交付)までは、時期によって変動しますが基本的に2週間程度かかります。旅行シーズン前後や都市部の窓口自体は混雑することも多いので、余裕をもって準備しましょう。
パスポートに関するその他詳細・最新の情報は、日本の外務省ウェブサイトまたは各自治体ウェブサイトにて確認できます。申請前に必ず一読しておきましょう。
(以下リンク:別窓で開きます)
【実体験】パスポートの新規発行
筆者は2024年の春頃に窓口にて新規申請しました。GW後だったおかげか窓口は混んでおらず、30分も待たずに受付してもらい、スムーズに対応してもらえました。
失効したパスポートを紛失していたので、申請時にその旨を伝え、わずか1週間で交付してもらえました。
渡航日/帰国日を設定する
まずは渡航日と帰国日を決めよう
入学・入寮が決まったら、いつから入寮を受け付けてくれるかを寮担当者へ確認し、渡航日を決めていきましょう。
始業の数日~1週間前の渡航がベスト
ほとんどの学校は秋学期・春学期のセメスター制で、秋学期は8月3週目、春学期は1月2週目スタートが多いです。
ただし受講するコースによって、例えば園芸コースは2月スタートになっていたりと、学習内容によって例外があるので、コーススケジュールを確認しておいてください。
学校がスタートすると、すべてが新しいことばかりなので、ついていくのに必死になることと思います。
新しい環境に体を慣らし、授業に集中する為にもコースが始まる数日~1週間前に現地入りしておくことをおすすめします。
始業の数日前は、滞在先の町をのんびり散策しながらスーパーやドラッグストアなどの場所を確認したり、公共交通機関に乗ってみたり、生活に必要なものを買いに出かけるなど、事前に気持ちも環境も整えておくと安心です。
帰国のタイミング
セメスターの終業時期は秋学期が12月3~4週目、春学期が5月4週目あたりの終業が多いです。
コース受講後は、基本的に速やかに帰国しなければなりません。旅行を検討している方は、留学期間中の長期休暇を利用するように計画し、学生ビザの有効期日を基に帰国日を設定しましょう。
また、資金に余裕がある方はクリスマス・正月の長期休暇に一時帰国するのもアリかもしれません。不要荷物の入れ替えや必需品の追加もできますし、リフレッシュになるでしょう。
コース(学校)の公式サイトを小まめにチェック
コースによっては受講申し込み期間になると『学期スケジュールや期内休暇』を明記した資料を公開していることがあります。
渡航/帰国日だけでなく留学中の旅行計画も立てやすくなるので、ぜひ活用しましょう。
”学生期間”を最大限に有効活用しよう
せっかくの海外留学となると、学校での勉強だけが学びの場ではありません。学期内の長期休暇をうまく活用し、学生中にお得な旅行や観光に活用しておきましょう。
詳しくは第三部の記事にて紹介していきますが、スウェーデンには学生向けのお得な優待カード『Mecenatkort』があります。
このカードがあれば、スーパーや日々のお買い物をはじめ、通学の交通費や休暇時の旅行(宿泊、長距離移動)、美術館や博物館などの入館料など、あらゆるものをすべて定価より安くまたは無料で利用することができます。
学校生活後に旅行して帰ろうかな……などと検討している方は、この学生カードが利用できる留学生活中にお得に満喫しておくことを強くおすすめします。
コース修了後の滞在は可能か
結論:原則不可です。
スウェーデン大使館によると、「学生ビザ(居住許可の有効期間)が終了した後は、1日でもスウェーデンを含むシェンゲン協定国に滞在することはできません。」とされています。
学生ビザの期限後に自動でシェンゲンビザが自動適用されるかは不明です。確実に知りたい方は、移民局に直接問い合わせることを推奨します。
気になる方は参考までに、移民局の以下のページを参照ください。(以下リンク:英語ページが別窓で開きます)
航空券の予約
フライトを探す ―直行便 or トランジット
航空券(フライトチケット)は各航空会社のキャンペーンや早期割引を利用するとお得に購入できる場合があります。また、各航空会社のメルマガに登録しておくと、キャンペーン情報の通知が届くので便利です。
渡航より3ヶ月以上前は、各航空会社のフライトスケジュールが出ていないことも多いですが、小まめにフライト検索サイトや各航空会社サイトでチェックして価格帯を把握しておくのがよいでしょう。
日本 – スウェーデン間のフライトは、直行便と乗継便の2種類があります。
直行便
大阪/東京 – ストックホルム間を約14時間で行き来できます。予約時期やフライト時間によって金額は変動しますが、一番速く、確実に現地入りできる手段です。
乗継ぎ便
他国を1回または複数回中継する便を指し、直行便よりも安価になりやすいですが、複数回のフライトで移動時間が長くなり、体力を消耗しやすいのが注意点です。
乗継ぎ(トランジット)の待機時間にもよりますが、早いと約17時間程度のフライトとなります。トランジットを重ねると、到着日数はかかりますが費用をかなり抑えられます。自分の体調や体力、予算と相談して決めましょう。
| フライト時間 | 価格帯* | 特徴 | |
|---|---|---|---|
| 直行便 | 約14時間 | 往復 約20-30万円~ (平均で約35万~) |
・時短/タイパ◎ ・移動が楽 ・体の負担が少ない |
| 乗継ぎ便 | 約17時間~ | 往復 約16万~ (乗継1回で約28万~, 乗継2-3回で約16万~) |
・出費を抑えられる/コスパ◎ ・移動が複雑(トランジット) ・疲労が蓄積しやすい |
*価格はあくまで目安です。ざっと検索してみた肌感で記載しています。
シーズンや搭乗日時などで大きく上下に変動します(2025年9月時点)
ちなみにオープンチケット(搭乗区間の指定のみで、便予約をせずに購入する航空券)を買う選択肢もありますが、日付変更時に手数料がかかったり割高になりがちなので注意が必要です。
フライト予約の5つのポイント
ここからはフライトを予約する際に、注意する必要があるポイントを5つ紹介します。うっかり確認を怠ると大きなトラブルに繋がりかねない項目もあるので、一つずつチェックしておきましょう。
1. フライト以外の移動手段を調べておく
安価だからと早い/遅い便にすると、空港までの交通手段がなくタクシー移動になったり、ホテルで前泊が必要になったりすることも。
特に現地では、学校の終業日後は電車やバスの朝の本数が減ります。早朝~朝のダイヤがなくなるので、空港までの足が手配できなくなることも。
また、タクシー予約は最低1週間前に予約するシステムで、日本と違って当日すぐに呼ぶことが難しく、価格も桁違いに高額なので注意しましょう。
年末年始のフライトの場合、祝日ダイヤかどうかもチェックを忘れずに!
2. トランジットの待機時間を十分に確保しよう
乗継ぎをする際、発着遅延や空港内で迷うなどのトラブルを見越して、最低でも3時間以上の猶予があるフライトを選びましょう。
特に北欧の冬では、積雪での発着遅延が多かったり、機体の除雪で数十分~1時間程度の遅れが生じることも多いです。空港内もかなり広く、搭乗口が数十とある中で目的のゲートへ行くまでに15~20分かかることも。
中継国で保安検査やパスポートコントロールがある場合、さらに時間がかかります。
乗継ぎに間に合わなくなったり、乗り遅れてロストバゲージ(預り荷物の紛失)につながる可能性もあるので、乗継ぎまでの時間を十分に確保する組合せのフライトを選びましょう。
3. 予約は航空会社サイトからするのが◎
海外渡航に不慣れな方への注意点になりますが、フライト予約自体は各航空会社のサイトから直接予約することをおすすめします。
格安航空券の比較サイトで出てくるフライトをそのサイト内で予約すると、予約時に座席指定やオプション追加ができないケースがあります。
その場合、渡航直前に各航空会社にて座席指定等を追加購入することになりますが、不慣れな方はそういった手続きに混乱するかもしれません。
候補のフライトを見つけた場合は、便名や日時を書き控えて大元の航空会社の公式サイトで調べ直して予約しましょう。
4. 座席は中央列の通路側一択!
機内の図解(エコノミークラス)
[窓] □□□|通路|☑□☑|通路|□□□ [窓]
□:座席
☑:推奨する座席
ロングフライトの便では、窓際ではなく中央列の端の席を指定しましょう。
多くの大型旅客機の座席組みは、機体左右にそれぞれ3列、中央に3列になっています。筆者のオススメは機体中央列 通路側の席です。
中央列 通路側の席は、トイレや荷物の出入れの離席や移動、睡眠時のストレスがほぼありません。CAさんへの声掛けも容易で、窓際席より快適に過ごせるでしょう。
一方で、機体左右列の座席は、どの席に座っても移動や離席に声掛けが必要となるか、必ず声をかけられることになります。
窓からの景色を楽しみたい方は、乗り継ぎ後のフライト時間の短い便で窓側席を指定するのがおすすめです。短時間のフライトでは両側2席ずつの小型旅客機なことが多いので窓側を選んでしまっても問題ないでしょう。
5. 会員登録でポイント/マイルを貯める
各航空会社の会員登録をしてアプリ等をダウンロードしておくことで、フライトの把握や変更がしやすくなります。
さらに、航空会社ごとにマイルやポイントを貯めるとお得に旅行できる特典も多くあります。
例えば、フィンエアーでは溜まったポイントをフライト中のWi-fi購入に使えるサービスがあります。フライト中にインターネット利用で人と連絡を取り合ったり、現地の下調べもできてとても便利です。
フライトの予約時には忘れずに事前登録しておくことをおすすめします。
海外旅行保険の契約と注意すべきポイント
最後に、留学生活に欠かせないのが旅行保険です。けがや病気になった時やトラブルに見舞われた際の安心材料として必ず加入しておきましょう。
そもそもスウェーデンでは、学生ビザの申請書類でも海外旅行保険の契約証明書が必須となっていて、その内、クレジットカード付帯の海外旅行保険は対象外となっていますので注意しておきましょう。
比較サイトや無料見積もりを利用しよう
留学や長期滞在向けの海外旅行保険サービスは数多くあり、補償内容と価格もピンキリです。
相場感をつかむためにも、比較サイトを活用してみるのがおすすめです。「海外旅行保険 留学 比較」などのキーワードでヒットします。細かい補償条件は公式ページで確認をお忘れなく。
比較サイトのほかにも、メールやLINEで簡単にできる無料見積もりサービスもあります。申し込むとすぐに数種類の見積もりを出してくれるので、ご自身の留学期間や希望条件に合わせて比較検討するのもおすすめです。
海外旅行保険を選ぶポイント
加入時に確認しておきたいポイントを簡単にまとめておきます。支払いタイプやご自身の体調や持病、個人的に気になる補償内容などを事前にまとめておくと比較検討しやすく、失敗しにくいですよ。
1. 歯科治療も対象か
保険によっては、現地での歯科治療がオプションで選べるものもあります。急な歯の痛みやトラブルがあった際に加入しておくと安心かもしれません。
そうならないためにも、渡航前に口腔ケア・治療は済ませておくようにしましょう。
2. キャッシュレス診療できるか
「キャッシュレス・メディカル・サービス」を提供する海外旅行保険は、提携先の病院で診療した場合、現地で支払わずに受診することができます。
1年未満の留学では、パーソナルナンバーがないため診療費は全額自己負担となります。
海外旅行保険適用であっても、一時的な支払いによる負担を軽減したい方は、こういったサービスの有無を検討するのもよいかもしれません。
【実体験】スウェーデンの医療費は高額?
筆者は留学して数か月が経った頃、校内の階段から落ちてケガをしたことがありました。
講師が病院へ連絡してくれて、治療内容と大体の診療費を概算してもらうことができましたが、「診察・レントゲン撮影・薬の処方で約4万円ほどかかる。仮に骨折していても部位的に処置のしようがない」とのことでした。
おそらく骨折はしていないこと、痛み止め薬を持っていたことから受診しないことを選びましたが、キャッシュレス診療ではない保険を契約していたので、診察してもらったら一時的に大きな出費になったでしょう。
また、学校自体が傷病保険に加入していて、全生徒に対して敷地内で発生した けが への補償がありました。
ただパーソナルナンバーを持っていることが条件だったため、残念ながら保険適用外となり残念でした。
渡航準備Q&A
Q: どのフライトがおすすめですか?
A: 自分の予算と体力に合ったものがおすすめです。
筆者はトランジット1回の約17時間のフライトにしました。往復約27万円かかりました。自宅⇔現地までの総移動時間が約30時間以上かかるので、体力的にトランジットを重ねるのは無理と判断しました。
留学中に日本から友人が遊びに来てくれましたが、トランジット2回の便で往復約16万円ほどに抑えたと聞きました。
Q: どの海外保険がおすすめですか?
A: 筆者は『t@biho(たびほ)』を契約しました。
見積もりサイトやLINEで簡単見積もりしてくれるサービスを利用し、3つほど検討しましたが、延長手続きも簡単そうで、一番補償が最低限揃っていて安価だった『t@biho』を選びました。
歯科治療や緊急一時帰国費用などの補償がついていて、10か月で約14万円でした。キャッシュレス診療をオプション追加すると20万近くになったので、低コスト優先で断念しました。
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